PCやスマホで「におい」と入力すると、2種類の漢字候補が出てきます。「臭い」と「匂い」。
「臭い」は、悪臭等の悪いにおいに使われる漢字。
「匂い」は、花や香水の良いにおいに使われる漢字。
日本社会は、臭いに関してかなり過剰に反応する国になりつつあるようです。
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過剰な消臭社会
Googleで次のキーワードを検索してみました。
「臭い」の検索結果:64,100,000件
「匂い」の検索結果:50,700,000件
「消臭」の検索結果:129,000,000件
「芳香」の検索結果:47,000,000件
以上の検索結果から、日本語圏で「におい」と「消臭」「香り」に関係したWebページがかなり多いのではないでしょうか。「消臭」にいたっては、1億2900万ページがヒットします。
このことからも、日本社会は「臭い」と「消臭」に対して、関心がかなり高いと言えます。
TVでは、頻繁に消臭剤やブレスケア製品のCMが流れていることからも、ニーズが多く人気商品であることが伺えます。
昔から、トイレの芳香剤は定番の生活用品。
ところが今となっては、部屋の芳香剤もトイレ用と並ぶ定番商品。更に、あらゆる消臭剤のオンパレード。部屋の消臭だけでは満足できないのか、自動車用の消臭剤も売られています。
日本の消臭ブームは過剰とも感じられるほどです。
日本は一億総無臭化へ進む?
遠い昔、気密性が低い木造住宅が多かった時代、夕方になると、あちらこちらからいい匂いが漂ってきました。1軒ずつ、夕食のおかずが何かを言い当てることができたほど。
町の八百屋さんには、野菜がそのまま山積みされ、周囲に野菜の匂いが漂っていました。
そして、下水道と水洗トイレが普及していない時代、バキュームカーが町を無尽に走り回っていました。
かつての日本では、あらゆる「におい」が漂っていました。「におい」のオンパレードが、ごく普通だったのです。それが町の風景に溶け込んでいたのです。
時代と共に、住宅の気密性が向上し、八百屋の野菜はプラスチックバッグで包装され、下水道が普及し、町や住宅街を歩いていても「におい」をあまり感じない時代になりました。
日本の文化レベルが向上し、確かに衛生的な時代になりました。すると、人は臭いに敏感になるのでしょうか?
とかく、社会がクサイ「臭い」に敏感に反応し、臭いを排除する方向に進みつつあるようです。
体臭と口臭
人は誰でも体臭があります。日本人は白人系より、体臭が明らかに少ないと言われます。しかも、日本人は総じて風呂好きの綺麗好きが多いですから、多くの日本人は清潔です。
ところが、人は時代の空気に押されて流されているのか、体臭そして、口臭に対して、更に敏感になりつつあるような印象を受けます。
犬はシャンプーの後、もがく
ここで話がそれますけど、愛犬を風呂場でシャンプーすると、慣れている犬は大人しくしています。シャンプー後、外へ移動し、タオルで犬の体を拭いていると、犬は居心地が悪そうに見えます。
地面にタオルを敷くと、犬はその上でもがくように体を押し付けます。
香料が強いシャンプーを使ってしまうと、犬は気が狂ったようにタオルに体を押し付けます。
この行動が意味するのは、犬は自分の「におい」以外の香料に対して拒否反応を示すのです。体毛についたシャンプーの匂いを落とすために、犬はタオルの上でもがきながら体を押し付けて「臭い」を消そうとしているのです。
人間にとっていいと思われる匂いは、犬にとって最悪の臭いなのです。犬はただでさえ嗅覚が優れています。
日本社会は、人が本来持っている体臭を否定する方向に考えるようで、口臭も同様に考えられているようです。
口臭の中でも、誰もが生理的口臭を持っているもので、何ら問題はありません。しかし、時代は生理的口臭までも消臭するような方向に進んでいるような気がします。
「臭い」に対して、人によって個人差がありますし、女性は男性より臭いに敏感です。しかし、過剰な消臭文化は少々、社会が病んでいるような気もするのです。